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最後の10メートル

最後の10メートルはラストワンマイルをもじった私の造語です。ラストワンマイルが光ファイバー網から個々の住宅に高速インターネット回線を引き込む際のコストベネフィットの問題を指しましたが、最後の10メートルの問題は宅配ドライバーが車のドアから住宅のドアまでの距離をイメージして名付けた問題です。

通常、宅配ドライバーは宅配業者と雇用(法律上の契約形態がどうであれ、ドライバーは宅配業者から目的地の指示を受ける)関係にあります。当然ですが、宅配ドライバーはドライバーで在って販売員でも商品説明員でもありません。業者によってはセールスドライバーを称しますが、販売員である前にドライバーです。

ところが、通信販売が発達するとドライバーには運転と輸送の他に販売業者の顧客窓口の機能を求められるようになってきたように感じます。車から降りて顧客の玄関で配達する際に販売業者の窓口に代わる必要があります。顧客が前回以前の配達時に問題があったと判断されると、今回の配達時にクレームを述べることもあり得ます。また、前回配達時の顧客応対が悪いという理由で今回のドライバーがクレームを受けることもあります。前回配達時の業者と今回配達時の業者が異なる場合であってもこのようなことは容易に想定されます。

最後の10メートルの問題はその区間だけ販売員としての活動を求められるという配達ドライバー特有の問題です。発生の要因は通信販売が発達して配達ドライバーが接客を求められることにありますが、ドライバーが持つ免許には接客に関する試験を課せられることなどありません。

最後の10メートル問題の背景にはドライバーに求められる能力と販売員に求められる能力が異なることにあり個々の期待ギャップがあります。販売員に要求される人間性とドライバーに求められる人間性が異なることが問題の本質ではないでしょうか。

心ならずも販売の最前線に立たされた配送ドライバーはこの他に配送品の品質管理を求められることがあります。更に宅配ドライバーは安価で所要時間の短い通行を求められます。ドライバーとして入ったはずなのにその他の要素も加わって混乱しているドライバーの葛藤があるのではと思います。また、全国津々浦々に配送できる能力のある運送会社は限られていますし、複数の温度管理を行いつつ配送することができる業者も特定の業者になります。

このようにして考えていくと最後の10メートル問題を解消するのにAIが有効かといわれるとわかりません。ただ、AIであっても運送、品質管理、接客の3種類の異なる役割を求められることだけは間違いないです。配送業者の手違いで通販業者の印象を悪化させないようにしたい、逆に販売業者の無理難題で職場環境を悪化させたくないはずです。

以上から宅配ドライバーは路線ドライバーとは異なるスキルが必要になります。恐らく、販売員をドライバーとするほうがドライバーを販売員にするより簡単ではないかと思います。

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