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損益計算書はどのように企業が活動すると利益がいくら出るかを示す構造になっております。収益と費用の特性によって分類がされます。ところが、損益計算書には何をどうするといくら利益改善をするのか見えにくいという致命的ともいえる弱点があります。この重大な弱点を解消するために考え出されたのが変動損益計算書です。
変動損益計算書は売上の変化によって経費がいくら動くかを示すことができるもので、利益計画を立てる際に用います。こんなものを考えだしたアメリカの鉄道業界はすごいですね。今では旅客輸送は航空機に敗れ、貨物輸送はトラックに敗れていますがアメリカの鉄道業界は管理会計の研究の宝庫です。
さて、脱線はこの程度にしまして、変動損益計算書は次の構造をしています
売上高 XXXXX円
変動費 YYYY円
限界利益 ZZZZ円
固定費 AAAA円
営業利益 BBBB円
教科書を開けば準変動費や準固定費が出てきますが、中小企業の現場ではあまり意味がないので無視します。限界利益の言葉についてはmarginal profitの翻訳で、決まり文句です。わかりにくい用語ですが気にしないでください。
前回で「一律cc%の費用逓減は無策だ」といいましたが、15%売上が低下すれば変動費は15%落ちる代わりに固定費は下がりません。性質の異なる二つの経費を同じように下げても努力の程度が何もしないことと死ぬ努力が必要であるとのギャップが発生します。
さらに困ったことに、固定費は戦略的費用と自然発生的費用の2種類があります。私が企業で経営管理を行っていた時に、不審にあえぐ営業部に対して「広告費と交際費を使え」といったことがあります。全社的には経費節減を要請したにもかかわらずです。
経費削減を行うとき、一般的には「計上額の大きな費用から削減せよ」といいます。同じ割合だけ削減しても額が大きくなるからですが、仕入が大きな額であるときは勝手に削減でき、人件費が大きい場合はほぼ削減できません。
最初に削減するべきは自然発生的費用になります。自然発生的費用自体は造語ではありません。自然発生的費用とは企業を営めばどうしても発生する費用を指します。例示すれば減価償却費、貸倒引当金繰入額、事務所水道光熱費、消耗品費、事務費などです。もちろん、企業によって異なることに留意していただく必要はあります。自然発生的費用削減の特徴は薄く広く、です。ただ、パフォーマンスであって削減効果が小さいのが欠点ですが、それでも社員に削減意識をもって仕事するのに必要な行為です。
例えば、五島慶太氏は現在の近鉄においてお茶や鉛筆までケチったといいます(出典「東への鉄路」)。効果があったのかといえばほとんど効果がない、むしろ反発が多かったかもしれませんが、それでも即効性があるため、まずは自然発生的費用を削減します。その目的は本格的費用逓減活動を行うための時間を確保することにあります
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